ヘッジおじさんのつぶやき提言

ブログを読まれる前に

このブログはファイナンシャルアドバイザーの立場から投資家の皆様のためにつぶやくことが原則です。出来れば書きたくないことの方が多いのが世の中です。しかし、知らないと不利なことが多いのです。たとえば、各運用会社がどうやって投資信託のファンドマネージャーを選別するのか?おじさんは一番気にかかります。自分の大切なお金の運用を任せるのです。気にかからない方がおかしいですよ。命の次の次くらいのお金の話です。運用を始める前に、おいしいコーヒーを横において見て頂ければ幸いです。

階層別資産運用のススメ1――まずは資産形成層

インフレ時代が来る――日本の最初のインフレはいつ?

近代化のお手本は北イタリア

日本の近代化は西洋をお手本に進められてきました。文明開化です。

明治に入って銀行が設立されました。日本銀行のホームページをみると、第一号の銀行は明治6年7月20日第一国立銀行です。この銀行は「国立」と名前は付いていますが、実は民間の銀行です。「国立銀行条例」により、設立された銀行です。本当の民間銀行としては、旧三井銀行が初です。銀行の原型は北イタリアの両替商のようです。民間の銀行との大きな違いは、国立銀行は銀行券が発行できました。銀行券が流通しないそれまでの商取引は、まだ貨幣経済国家ではなかったのです。

現在、銀行券の発行できる銀行は、日本銀行だけです。その日本銀行が設立されたのは、明治15年、同年10月10日に営業を開始しました。日本の金融行政はここから始まりました。

何故、民間から金融が始まったのでしょう?―――新政府は資金調達が出来なかった

明治15年までは銀行は全て民間の銀行でした。銀行と言えども、実はまだ信用がありませんでした。だから担保が必要でした。いくら法律があったとしても紙切れの交換で、他人と取引ができるでしょうか?ましては言葉の通じない外国人が相手の場合…。

その信用手段として、「金=GOLD」の保有量によって銀行券が発行できるようにしたわけです。金本位制と言います。新政府には「金」があまり有りませんでした。まだ、徴税制度も完備されていません。当時、民間の両替商の方が、「金」を保有していたのでしょう。新政府は民間資本を当てにしました。兌換紙幣と言いますが、金と交換できる紙幣にしたわけです。紙幣には英語で「金」と交換が出来ることが印刷されていました。

かつての「黄金の国」には「金」はない?

かつての「黄金の国」には総保有額としての黄金はあまり有りませんでした。鎖国を解いて外国との貿易が始まると、どんどん「金」は国外に流出していきます。民間にお願いしましたが、直ぐに「金」が底をついてしまった。明治政府は「金」と交換しなくてもいい紙幣の発行を認めました。不換紙幣と言います。不換紙幣が認められると、雨後の筍のこのように国立銀行が設立されました。トータル153行です。どうなったか…。

自分に都合のいい時に、紙幣をどんどん発券したかったのです。そして、初めて経験するインフレになりました。原因は明治10年の西南戦争です。敵味方が武器の調達や兵隊を徴兵するためにお金が必要だったのです。その教訓から発券機能を政府が管理するために「日本銀行」が設立されたわけです。発券機能は自由に戦争を引き起こす力があったわけです。

日本銀行の設立の意義―――国家権力は金?

当時のインフレがどうであったのかはわかりませんが、「激しいインフレ」ということでした。ハイパーインフレだったのでしょうか?当時の統計データは無いようで、分かりません。米国のデータを見ると戦争によるインフレは平均10~20%です。毎月50%以上の勢いで物価が上昇することがあります。そして、レーニンは「資本主義経済を破綻する最善の方法はインフレ」と言っています。なるほど、ロシアがウクライナに進行し、天然ガスの供給を止めた戦略は資本主義経済にインフレを起こさせることだったのか、と納得です。

インフレを調べると本当に革命がおきたり、暴動になったり、戦争や国の崩壊に結び付きます。結局、政治は金が必要(金権政治?)ということでしょうか?だからインフレ予防策を国家戦略として掲げておかなければならないのです。ユーゴスラビアという国は116兆パーセントのハイパーインフレで、いくつかの国に分裂してしまいました。

日本銀行の設立の意義は、インフレの番人としての意義です。これが戦後の日本の金融政策の基本でした。インフレは敵です。

1998年、デフレ経済がやってきた—「失われた25年」

デフレは物価が下落することをいいます。物価が下落するとどうなるか、不況になると見られていました。物価が下がるということはお金の価値が上がることです。日本のお金の価値が上がるということは、円高です。

1998年9月以降デフレになりました。消費者物価がマイナスになりました。2023年まで継続した、とおじさんは見ていますので、「失われた25年」と言っております。しかし、不況にはならなかったのです。そこには日本の特殊性が有ったのかも知れません。別のブログでも少し触れていますので、ご参考にしてください。

2023年にデフレ終息宣言をおじさんはしました。これからはインフレの時代がやってくる。物の値段はあがります。今度は円の価値は下がります。円安ですか?(別のブログで書きました。)

経済学者が日本のデフレ経済を実証分析できればノーベル経済学賞も現実味を帯びるかもしれません。社会主義のような資本主義のような中庸経済主義です。しかし、一見安定しているように見えますが、その均衡が崩れると反動は大きくなるものです。
注意が必要なのは、国内ではなく近隣の海外情勢だとおじさんは考えています。

階層別資産運用のススメ1 基本はインフレ対策運用

話は変わりますが、おじさんは金融資産と投資の基本と投資目的等から3つの階層に分類し、投資のスタイルをアドバイスすべきと考えております。その3つの階層とは、資産形成層、資産運用層、財産承継層です。(別のブログで書きますよ)

資産形成層はひたすら資産を増やす方です。この層は積極的にリスクを取ってリターンを上げることに専念します。少額投資になりますので、毎年の増加額がポイントです。昔むかし、通帳の残高が去年より50万円増えいたら、にんまりしました。何を買おうか?

リターンを取りに行くので、株式や投資信託が中心です。毎月積み立てがベストです。

実は株式や投資信託は価格が下落すると有利になります。会社の情報が変わらないとすれば株価収益率は下がります。株価収益率が下がると配当や決算状況が変わらないとすれば株式益利回りが上昇します。株式益利回りが上昇するということは、その株式が割安ということです。インデックスファンドであれば、各銘柄の株価収益率が分かるので平均して求めればいいと思います。下がっていけばどんどん益利回りが上昇するので割安の状態で買付できます。

ここで落とし穴があります。一つはどんどん高くなると逆にリスクが上昇します。その時は企業やファンドの成長力と比較してどれだけ割高に乖離しているのかを確認しましょう。20%以上か乖離すると要注意です。積み立てのいいところは、高くなると株数や口数が減ります。株式の場合は購入を控えましょう。

資産形成層→→→損出は授業料、スポーツ感覚で勝負

二つ目はどんどん下がった時の下がり方です。国や企業が10年、20年先存在しているか、年に1度くらいは検討して下さい。国はともかく、企業は倒産というリスクがあります。デフォルトと言いますが、遭遇すると運用はまた1からのスタートです。初期化されて投資した金額は戻ってこないことが確定します。

何しろ、資産形成層はポートフォリオを組むというよりは、攻めの運用。積極的にリスクを取り、資産運用を学んでください。損出は授業料と考えてください。目標リターンは最低名目インフレ率以上です。インフレ率は物の価格です。日銀発行券がその物差しなら、物の価格以上にお金が増えなければ運用は負けですよ。

スポーツ感覚とは、コーチがいた方がいいということです。コーチはその道のプロ。何をするにも基本があります。型やホームと言いますが…

おじさんはもう走れませんが、昔、1年間コーチについてテニスを習いました。理屈では「ボールとラケット面の角度とスピードだ」と分かっていても体は動きません。意識すると右手と右足が一緒に出ます。そのコーチは肩の入り方を指導してくれました。ラケットより先に肩を入れる。その通り出来た時は試合に勝った気持ちになりました。資産運用は誰にでもできます。資産運用層は理屈ではなく経験が大切です。一度は経験してください。言いたいことは経験してからです。