ヘッジファンド通信

ヘッジファンドとは何ですか?

ヘッジファンドの定義

ヘッジファンドというと、みなさんは何を思い浮かべますか?機関投資家や超富裕層向けにプロフェッショナルな金融の専門家が行う運用といったところでしょうか。過去の統計データやコンピュータを使った高度で最先端のIT技術を駆使した運用などをイメージする人もいるのではないでしょうか。ヘッジファンドという言葉は聞いたことがあるけれども、ヘッジファンドが何なのか、ヘッジファンドの定義を明確に説明できる人は少ないのではないかと思います。
投資信託に関しては「証券投資信託及び証券投資法人に関する法律(昭和26年の制定当時の法律名は「証券投資信託法」でした。)」によって定義が定められていますが、日本にはヘッジファンドを明確に定義する法律がありません。そのため、ヘッジファンドが何なのかあいまいなところがあります。“投資ファンド(Investment Fund)”と同じくらい広い意味で考えている人も多いようです。
ヘッジファンドを定義する前に、本来の言葉の意味について考えてみましょう。ヘッジファンドのヘッジ(Hedge)という英語は、もともと『生け垣、垣根、囲い』を意味する名詞です。ヘッジとは『守ること、(リスク等を)回避すること』が本来の意味です。ヘッジは動詞で使われることもあります。動詞で使う場合、『(何らかのリスクから)守る』という意味になります。みなさんも『リスクをヘッジする』といった表現を使うことはないでしょうか。『リスクヘッジ』という名詞も一般的に使われているかと思います。
ヘッジファンドのファンド(Fund)という英語は『資金や基金、集められたお金』を意味しています。すなわち『(何らかの目的のために)まとまった金額のお金を集めること』という意味です。ファンドが意味することは、『投資のために集められたお金、投資資金」と言ったところでしょうか。
つまり、ヘッジファンドの本来の言葉の意味は、『(相場の変動や投資先の債務不履行などによって資金が減少したり、投資金額が回収できなくなるリスクから)守られて運用される資金』となります。ヘッジファンドと言うと、多くの人は複雑な取引手法、デリバティブや信用取引などを駆使して、ハイリスク・ハイリターンの運用を行うイメージがありますが、本来の定義は『リスクを抑えながら、高い収益、別の言葉で言うと“絶対収益”を狙う運用手法』なのです。 
 

ヘッジファンドの運用とは?

ヘッジファンドの元々の意味は、「リスクを抑えながら、絶対的な収益を追求する資金運用の方法」となりますが、先程お話したようにヘッジファンドは明確に定義がされていないため、本来の意味から離れて、大きなリスクを取る運用も、“ヘッジファンド”と呼ばれているのが現状です。ヘッジファンドの運用は、投資戦略に応じて様々なものがあり、『ロング・ショート』、『リラティブ・バリュー』、『マーケット・ニュートラル』といったカタカナの専門用語を思い浮かべる人も多いかもしれません。ヘッジファンドのそれぞれの投資戦略については、このブログで後々詳しく説明する予定です。ここでは、ヘッジファンドの本来の運用である“絶対収益を追求する”ヘッジファンドについて考えてみたいと思います。
株式や債券などの伝統的な現物資産に投資する資産運用は、アクティブ運用(積極的な運用)とパッシブ運用(消極的な運用、インデックス運用とも呼ばれていて、幅広い株式を一定のルールに従って等しく買うことによって平均的な運用実績を目指します。)に大きく分けられます。本来の意味でのヘッジファンドの運用は、アクティブ運用とパッシブ運用のどちらに該当するのでしょうか。積極的に収益を上げようとする運用だからアクティブ運用でしょうか。リスクを抑えた運用だからパッシブ運用でしょうか。実はヘッジファンドの運用は、アクティブ運用でもなく、パッシブ運用でもない第3の運用ともいうべきもの、オルタナティブ運用(Alternative Investment、代替投資)と呼ばれています。
 

オルタナティブ運用としてのヘッジファンド

オルタナティブ運用は伝統的な運用以外のものが幅広く含まれるため、不動産投資、ベンチャーキャピタルファンド、コモディティ(商品)ファンドなどが含まれる広い概念です。本来のヘッジファンドも「リスクを抑えながら、絶対的な収益を追求する運用」としてオルタナティブ運用に含まれます。それでは、相場が上がっても下がっても利益が出ることを目指す“絶対的な収益”を追求する運用とはどのような運用手法なのでしょうか。
まず、絶対的な収益について考えてみましょう。相対的な収益という場合、平均的な収益を目指すインデックス運用と比較した運用となります。相対的に高い収益を目指すアクティブ運用では、アナリストやエコノミストなどがコストをかけて株価等の分析を行い、値上がりしそうな株式等を選んで買い、値下がりしそうなタイミングで買った株式等を売ることを基本として、インデックス運用を相対的に上回る利回りを目指します。しかしながら、平均を上回る運用ができたとしても、下げ相場において、平均的な運用利回りを上回れば満足できるでしょうか。下げ相場で、平均的な運用がマイナス10%のところ、それより5%も高いマイナス5%の損失で済んだと胸を張られても、微妙じゃないですか?
「絶対的な収益」を追求する場合、上げ相場でも、下げ相場でもプラスの収益を目指すことになります。つまり、相場環境に左右されず、相場が上げても下げても利益を出す運用、毎年毎年、評価額が確実に増えていくような運用を目指すということです。そんなことが可能でしょうか。実はヘッジファンドの中には、リーマンショックやコロナショックのように相場全体が下げた時にも年率ベースではプラスの運用を実現しているファンドもあるのです。
運用の基本は、相場全体の変動による価格変動リスク(ネット・エクスポージャーと言います。)をゼロになるようする市場中立型の運用を言います。

当社が提供している市場中立型のリラティブ・バリュー戦略のヘッジファンドについては、以下のリンクをご覧ください。

 https://airssea.co.jp/fund/fund1