エアーズシー証券のメルマガ 2026年8月31日号

1.マーケットのこと(今回の視点)

 【オルカンだけで大丈夫?】「世界分散」のその先を考えてみる 
  
投資家の皆様 
いつも大変お世話になっております。 
エアーズシー証券でございます。 
最近、投資の世界でよく耳にする言葉があります。 
「オルカン」 
「とりあえずオルカンを買っておけばいい」 
そんな言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。 
世界中の株式に投資できて、難しい銘柄選びも必要ない。 
確かに、とても分かりやすい投資です。 
でも―― 
本当に「オルカン一本」で、十分に分散できているのでしょうか? 
今日は少しだけ、オルカンを違う角度から見てみたいと思います。 
   
■ 「全世界」なのに、実は6割以上がアメリカ 
まず、意外に思われるかもしれません。「全世界株式」という名前から、 
アメリカ、日本、ヨーロッパ、中国、インド…… 
世界中にバランスよく投資しているイメージを持ちませんか? 
ところが、実際はそうではありません。米国株が全体の約6割を占めています。 
なぜでしょう?答えは簡単です。 
世界の国々に均等にお金を配っているのではなく、基本的に株式市場の時価総額に応じて投資割合が決まるからです。 
世界最大の株式市場はアメリカだから、当然アメリカの比率が大きくなります。 
さらに上位には、NVIDIA、Apple、Microsoft、Amazon、Alphabetなど、おなじみの米国巨大企業が並びます。 
つまり、 
「全世界」とはいっても、実際には米国株の影響をかなり大きく受ける。 
ここは、意外と見落とされがちなポイントです。 
   
■ でも、もっと大事なことがあります 
米国株が6割。もちろん、これも知っておきたいことです。 
しかし、私たちがもっと重要だと考えるのは、もう1つのポイントです。 
オルカンは、ものすごく簡単に言えば、 
「株を買って、持っておく」 
という投資です。やっていることは基本的に一緒です。 
「株を買う」つまり、基本的には株式のロングオンリーなのです。 
   
■ では、世界中の株が一緒に下がったら? 
ここで、ちょっと考えてみましょう。 
アメリカの株が下がる。日本の株も下がる。ヨーロッパの株も下がる。 
新興国の株も下がる。 
もし世界的な金融危機などで、投資家が一斉に株を売り始めたらどうでしょう。 
オルカンも、その下落から逃れることはできません。 
なぜなら、オルカンは基本的に株を買って持つ商品だからです。 
「相場が危なくなってきたから、株を全部売って現金にしておこう」 
「この会社は下がりそうだから、ショートして利益を狙おう」 
とファンドマネジャーが判断して動く商品ではありません。 
市場が上がれば、一緒に上がることが期待できる。 
しかし反対に、 
世界の株式市場が大きく暴落すれば、一緒に大きく下落する可能性がある。 
これがロングオンリー投資の大きな特徴です。 
   
■ そして、もう一つ忘れてはいけない「為替」 
ここまでは「株」の話でした。 
しかし、日本の投資家にとって、もう一つ非常に重要なものがあります。 
それが、 
「為替」です。 
ここ数年、オルカンを保有してきた日本の投資家は、非常に良いパフォーマンスを経験してきました。 
もちろん、その大きな理由の一つは世界の株式市場、とりわけ米国株が上昇してきたことです。 
しかし、それだけでしょうか。 
実は、日本の投資家が円ベースで享受してきた高いリターンには、 
「円安・ドル高」 
も大きく寄与してきました。 
これは、とても大切なポイントです。 
   
■ 株が上がらなくても、円安ならプラスになることがある 
簡単な例で考えてみましょう。 
例えば、1ドル=100円のときに、100ドルの米国資産を持っていたとします。 
日本円では、 
1万円 です。 
その後、米国資産の価格が100ドルのまま、まったく上がらなかったとします。 
ところが為替だけが動いて、 
1ドル=150円 
になったらどうでしょう。 
100ドル × 150円ですから、 
1万5,000円 になります。 
ドルで見れば、資産価格はまったく上がっていません。 
それなのに円で見ると、 
1万円 → 1万5,000円。 
これが、円安による為替効果です。 
もちろん実際のオルカンは米国資産だけではありませんし、各国通貨の影響を受けます。 
しかし、日本を除く外国株式が大部分を占める以上、 
日本の投資家にとって為替は無視できないリターンの要素です。 
   
■ では、これから円高になったら? 
ここで、少し怖い話をします。 
為替は、いつも同じ方向に動くわけではありません。 
これまで円安が追い風になってきたのであれば、 
逆に円高になれば、それは向かい風になります。 
先ほどの例を逆にしてみましょう。 
1ドル=150円のとき、 
100ドルの資産は1万5,000円です。 
その後、米国資産の価格が100ドルのまま変わらなかったとしても、 
為替が1ドル=120円まで円高になれば、 
100ドル × 120円 = 1万2,000円。 
ドルでは何も損をしていません。 
でも、日本円で見ると、 
1万5,000円 → 1万2,000円。 
20%減っています。 
つまり、 
「海外の株価が下がっていないのに、円高だけで円ベースの評価額が下がる」 
ということが起こり得るのです。 
   
■ もっと厳しいのは「株安+円高」 
そして、日本の投資家にとって、さらに厳しいケースがあります。 
それは、「世界株安」と「円高」が同時に起こることです。 
例えば、 
世界の株式市場が20%下落する。 
同時に、ドル円も150円から120円へ円高になる。 
単純化して考えると、 
100ドルだった資産は株安で80ドル。 
それを120円で円換算すると、9,600円です。 
もともとは、 
100ドル × 150円 = 1万5,000円 でした。 
それが、 
1万5,000円 → 9,600円。 
単純計算では、円ベースで36%の下落です。 
これはあくまで仕組みを理解するための単純な仮定ですが、重要なのは、 
株価と為替、二つの方向から影響を受ける可能性がある 
ということです。 
   
■ 「オルカンは儲かった」の中身を考えてみる 
ここで、少し見方が変わってきませんか? 
これまでオルカンで大きな利益を得た方のリターンには、 
① 世界株、とりわけ米国株の上昇 
に加えて、 
② 円安による為替の追い風 
も含まれてきました。 
つまり、これまで非常にうまくいったからといって、 
「これからも同じ条件が続く」 
とは限りません。 
米国株がこれからも上昇するのか。 
円安がこれからも続くのか。 
誰にも確実なことは分かりません。 
だからこそ、過去のリターンを見るだけではなく、 
「そのリターンは、何によって生まれたのか?」 
を考えることが大切なのです。 
   

■そして、もう一つ。「オルカンには債券が入っていない」 

ここまで、 
「米国株への偏り」 
「ロングオンリー」 
「為替リスク」 
について見てきました。 
でも、もう一つ忘れてはいけないことがあります。 
それは、 
オルカンには、基本的に「債券」が入っていない 
ということです。 
オルカンは「全世界」と呼ばれていますが、 
正確には、 
「全世界の“株式”」 
です。 
「全世界の資産」に投資しているわけではありません。 
これは、資産分散を考えるうえで意外に重要なポイントです。 
   
■ 3年前なら「債券なんて……」だったかもしれない 
ここ数年、株式投資がこれだけ注目されてきた背景には、世界的な低金利環境がありました。 
日本はその象徴でした。 
わずか3年ほど前、日本の10年国債利回りは0.5%前後の水準にありました。 
それなら、 
「わざわざ債券を買わなくても、株を買った方がいいのでは?」 
そう考える投資家が多かったとしても、不思議ではありません。 
ところが―― 
状況は大きく変わりました。 
   
■ 日本の10年国債が「3%近く」の世界へ 
現在、日本の10年国債利回りは3%近い水準まで上昇しています。 
ほんの数年前には、なかなか想像しにくかった世界です。 
つまり、 
「金利がほとんど付かないから、債券を持つ意味が乏しい」 
という時代から、 
「債券も、もう一度きちんと投資対象として考えてみてもよいのではないか」 
という環境へ変わってきているのです。 
そして今後、インフレや財政、金融政策などの状況によっては、 
世界的に金利がさらに上昇する可能性もあります。 
もちろん、金利が上昇すれば既に発行されている債券価格には下落圧力がかかります。 
ですから、 
「金利が上がる=債券なら何でも儲かる」 
という単純な話ではありません。 
しかし、新たに債券へ投資する際に得られる利回りという意味では、 
低金利時代とは明らかに環境が違ってきています。 
   
■ 株と債券は「役割」が違う 
そもそも、株式と債券は同じものではありません。 
株式は、企業の成長による値上がりなどを期待して保有する資産です。 
一方、債券には、一定の利息収入や満期償還を期待するという、 
株式とは異なる性格があります。 
そして景気には、 
良いときもあれば、悪いときもあります。 
株式が強い局面もあれば、 
債券の方が相対的に魅力を持つ局面もあります。 
だからこそ、昔から資産運用では、 
「株式と債券をどう組み合わせるか」 
が重要なテーマになってきました。 
  
  
エアーズシー証券では、今後も海外ヘッジファンドをはじめ、 
一般的な株式投資とは一味違った運用の世界を、 
できるだけ分かりやすくご紹介してまいります。
 
  
 

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