エアーズシー証券のメルマガ 2026年10月5日号

1.マーケットのこと(今回の視点)
今週のヘッジファンド
HEDGE FUND WEEKLY
2026年10月5日号
対象期間:2026年9月28日(月)~10月2日(金)
今週のヘッジファンド業界では、AIの業務への本格導入、マクロ戦略の好調、米国債市場におけるヘッジファンドの存在感拡大が目立ちました。
一方、米国ではオルタナティブ投資をより幅広い投資家に提供するための制度見直しが進み、プライベート・クレジットのリスクに着目する新たなショート戦略も登場しています。
今週押さえておきたい6つの動きをご紹介します。
________________________________________
1.Millennium、社員一人ひとりに「AIの分身」
大手ヘッジファンドのMillennium Managementが、社員向けに個人専用のAIアシスタント「Digital Twin」の導入を本格化しています。
Millenniumの公表によると、Digital Twinは利用者一人ひとりに割り当てられ、調査、外部情報の収集、会議資料の準備、メール管理、レポート作成などを支援します。現在、社内では1,600を超えるDigital Twinが利用されており、希望する全社員が利用できる体制となっています。MLP
なぜ重要なのか
これまでヘッジファンドにおけるAI活用は、投資モデルや市場分析への利用が中心に語られてきました。
今回注目されるのは、AIが「投資判断を支援する技術」だけでなく、「運用会社そのものの生産性を高める技術」へ広がっていることです。
今後は、ファンドの運用能力だけでなく、調査、リスク管理、情報処理などを含め、AIをいかに組織全体に取り込むかも運用会社の競争力を左右する要素になりそうです。
________________________________________
2.Bridgewaterの主力マクロ戦略、年初来18.4%
世界最大級のマクロ型ヘッジファンド、Bridgewater Associatesの主力ファンド「Pure Alpha」が、2026年1~9月で18.4%の上昇となったと報じられました。
同社のAIを活用した「AIA Macro」も同期間で16.4%上昇し、運用資産は45億ドルを超えているとされています。
なぜ重要なのか
2026年は、株式、債券、原油、為替など複数の市場で大きな変動が続いています。
こうした環境では、株式市場の上昇だけに依存せず、金利や通貨、商品など世界の複数市場でロング・ショート双方のポジションを取るグローバル・マクロ戦略の特徴が発揮されやすくなります。
ヘッジファンドの役割の一つである「市場環境に応じて投資対象やポジションを柔軟に変える」という考え方が、改めて注目される結果となっています。
________________________________________
3.ヘッジファンド、米国債市場の7%を保有
米国債市場におけるヘッジファンドの存在感が急速に高まっています。
米Office of Financial Researchによると、ヘッジファンドが保有する現物米国債は2025年末時点で約2兆ドルに達し、5年前の約3倍となりました。市場性米国債全体に占める割合は過去最高の約7%です。
一方、米連邦準備制度理事会は、ヘッジファンドのレバレッジが歴史的に高い水準にあり、とりわけ大規模ファンドに集中していると指摘しています。連邦準備制度理事会
なぜ重要なのか
ヘッジファンドは米国債市場に流動性を提供する重要な存在となっていますが、その多くは現物債と先物の価格差を利用するRelative Value取引などでレバレッジを利用しています。
通常時には市場の価格形成を効率化する役割を果たす一方、市場が急変し、短期間にポジション解消が起きれば、値動きを増幅する可能性もあります。
ヘッジファンドの規模拡大が、運用業界だけでなく金融市場全体の構造にも影響を与える段階に入っていることを示す動きです。
________________________________________
4.米国、オルタナティブ投資の提供方法を見直しへ
米証券取引委員会(SEC)は9月30日、Interval Fundの制度を見直す案と、運用会社が受け取る成功報酬等に関する規則の見直し案を公表しました。
Interval Fundについては、保有資産の流動性に合わせて買戻しの仕組みをより柔軟にすることや、複数のシェアクラスを設定しやすくすることなどが提案されています。SEC
また、一定の条件のもとで成功報酬を受け取ることのできる投資家の範囲を広げる案も提示されています。現時点ではいずれも提案段階です。SEC
なぜ重要なのか
ヘッジファンドやプライベート市場への投資は、従来、機関投資家や富裕層が中心でした。
しかし近年、Interval Fundなどを通じて、オルタナティブ資産をより幅広い投資家へ提供しようとする動きが進んでいます。
今後、制度変更が実現すれば、「株式+債券」だけでなく、「株式+債券+オルタナティブ」へと資産運用の選択肢が広がる流れを後押しする可能性があります。
________________________________________
5.「AI株」ではなくプライベート・クレジットを狙うショート戦略
著名投資家Michael Burry氏をシニア・アドバイザーに迎えたMinerva Investment Managementが、新たなショート・バイアス型ヘッジファンドの立ち上げを進めています。
同ファンドは、現在市場の注目が集まるAI関連株ではなく、プライベート・クレジットによる資金調達への依存度が高い企業などに潜む信用リスクに着目しています。
なぜ重要なのか
プライベート・クレジット市場は急速に成長してきましたが、上場債券市場と比べると価格情報が少なく、借り手企業の状況が市場価格に即座に反映されにくいという特徴があります。
こうした市場の「見えにくさ」を投資機会として捉えるファンドが登場したことは、ヘッジファンドの本来の役割である、市場の歪みや見過ごされているリスクを探す運用が改めて注目されていることを示しています。
________________________________________
6.アクティビスト、企業改革に「AI・テクノロジー」も要求
アクティビスト型ヘッジファンドのJana Partnersは、米決済大手Fiservに対し、コスト削減目標の大幅な引き上げと、テクノロジーを活用した業務改革を求めています。
Janaは、Fiservが掲げる2029年までの5億ドルのコスト削減計画について、12億5,000万ドルまで拡大することを求めるとともに、システムや業務プロセスの改革を加速するよう主張しています。
なぜ重要なのか
従来のアクティビスト投資では、資産売却、自社株買い、経営陣の交代などが主要な要求として知られてきました。
今回の動きでは、テクノロジーを使った業務効率化そのものが企業価値向上策として提示されている点が特徴的です。
AIやデジタル化の進展によって、アクティビスト型ヘッジファンドの企業への働きかけも変化し始めています。
________________________________________
今週を振り返って
今週のニュースをつなげると、ヘッジファンド業界で起きている二つの大きな変化が見えてきます。
一つは、AIやテクノロジーが運用会社の仕事そのものを変え始めていることです。MillenniumのDigital Twinに象徴されるように、AIは投資分析だけでなく、調査、情報整理、リスク管理など日常業務へ急速に入り込んでいます。
もう一つは、市場の変動や複雑化そのものがヘッジファンドの投資機会になっていることです。
金利や為替の大きな変動はマクロ戦略に機会を生み、米国債市場ではRelative Value戦略を行うヘッジファンドの存在感が増しています。一方、プライベート・クレジットのように急拡大した市場の中から、新たなショート機会を探す動きも出ています。
ヘッジファンドとは、単に株式市場の上昇を追う運用ではなく、市場環境の変化や価格の歪みを捉え、さまざまな手法を使って収益機会を探す運用です。
今週の動きは、その特徴を改めて示す一週間となりました。
________________________________________
参考情報
Millennium Management「Digital Twins at Millennium」(2026年9月) Millennium公式情報
Reuters「Bridgewater’s flagship macro fund posts robust double-digit gains this year」(2026年10月1日) 記事を確認
Office of Financial Research「Hedge Funds’ Cash Treasury Holdings Reach $2 Trillion」(2026年8月19日) OFR公式情報
SEC「Interval Fund Modernization」(2026年9月30日) SEC公式情報
SEC「Investment Adviser Performance-Based Compensation Modernization」(2026年9月30日) SEC公式情報
Reuters「With Burry as adviser, a new short-focused fund takes aim at private credit risks」(2026年9月28日) Finance Funds Update
Reuters「Activist Jana pushes Fiserv to accelerate cost cuts」(2026年9月28日) StreetInsider.com
________________________________________
※本資料は、各種公表資料および公開情報等を参考に、エアーズシー証券株式会社が情報提供を目的として独自に編集・作成したものです。特定の金融商品、投資戦略その他の取引の取得・売却等を勧誘または推奨するものではありません。また、掲載した情報の正確性、完全性等を保証するものではなく、内容は作成時点の情報に基づいています。
2.当社のこと
--------------------------------------------------
■ 今後の資産運用について、一度点検してみませんか?
--------------------------------------------------
「自分のポートフォリオは、今のままで『脱落しない』状態になっているか?」
少しでも気になった方は、ぜひ当社の【無料個別相談】をご利用ください。
現在の市場環境とお客様の状況を照らし合わせ、最適な見直し案をアドバイスいたします。
▼個別相談の詳細・お申し込みはこちら
・メールでのご相談:このメールにそのままご返信ください。
・お電話でのご相談:03-6225-2745(受付時間:平日 9:30〜17:00)
無料相談 0120-999-049(受付時間:平日 9:30〜17:00)
・Webからのお問い合わせ:info@airssea.co.jp
※「まずは話だけ聞いてみたい」という方も大歓迎です!
お気軽にご連絡ください。
※本資料は情報提供を目的として作成したものであり、特定の金融商品の勧誘を目的とするものではありません。
※本資料中の市場見通し等に関する記載は、作成時点における執筆者の見解に基づくものであり、今後予告なく変更される場合があります。
※本資料に記載された見通し・見解は将来の市場動向や運用成果を保証するものではありません。
※本資料は信頼できると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
※過去の運用実績は将来の運用成果を示唆または保証するものではありません。