ヘッジおじさんのつぶやき提言

ブログを読まれる前に

このブログはファイナンシャルアドバイザーの立場から投資家の皆様のためにつぶやくことが原則として始めました。もう半年以上が経ちました。皆様のお役に立てているか。振り返ることがあります。是非、ご感想を頂ければ幸いです。暑すぎた夏も終わり、天高く馬肥ゆる秋。自分の大切なお金の運用をもう一度考えて見ましょう。おいしいコーヒーを横において見て頂ければ幸いです。

金融市場は予測不可能
~~~どんな行動形態の生き物?~~~

日米金利差はまだ拡大するのか?

為替相場は34年ぶりの円安水準と言われています。円安に向かっているトレンドですが、日米の金利差が拡大しているトレンドと相関しています。日米金利差はどうなるでしょうか?日米金利差が縮小傾向になれば、円高トレンドということでしょうか?この日米金利差が何を意味するのかが重要なのです。

以前、金利のある世界と無い世界という話をYouTubeでしました。そこでは金利のある世界はインフレの世界です、といいました。しかし、正確ではありませんね。金利のある世界は、お金の貸し借りがある世界という方が正しいです。または、利子や利息のある世界。お金を借りる人や企業がいて、貸す人や企業がいる世界です。通常は「貸す企業とは金融機関」です。だいぶ淘汰されたようですが、日本は金融機関が多い国です。銀行の始まりはこのブログでもお話をしました(階層別資産運用のススメ1)。

利子と利息は同じこと?

ここで、利子について考えて見ましょう。おじさんが、100万円の現金を持っています。肖像画は澁澤さんではありません。実はお金の価値は変わらないと考えていますが、古い10円札が、古銭市場というのがあって、未使用という条件で100万円くらいの価値のあるものもあります。おじさんが持っているのは普通の100万円です。直近のYouTubeで、お金は使い方が大事です、というお話をしましたが、3通りの使い方を考えます。

① 友人に貸す     十一(トイチと読む)とか日歩1分

② 銀行預金にする   年利0.002%

③ 株式を買う     イオン株式100株と日本マクドナルド100株(合わせると100万円位になります)

本来なら、④として土地を買う、ということも入れたかったのですが、虎の子の100万円では土地は買えませんね。実は、金融資産としての不動産と実物資産としての不動産は別の機会で取り上げたいと思います。

ここで、③は投資になります。①,②は資産運用になります。お金を資産として運用する場合に利子という考え方が出てします。英語ではinterestと言いますが、日本では利息という言葉や日歩などいう言い方もあります。何故、日本ではいろいろな言い方があるのでしょうか?日本の貨幣経済の遅れが大きな理由かもしれません。

「息は利の如し」…『史記』より

利息という言葉は、前漢の時代に司馬遷によって編纂された『史記』という書物にある「息は利の如し」が語源のようです。「息」という漢字は男の子を意味していました。今でも息子といいますよ。当時は男子が誕生すると利益があると思われていたのでしょう。また、「息」は「生」を意味しています。この「息」の「生」には、生まれるということ。生きているということの2つがあります。「息」をしていくことは生きていくことだからです。その2つの意味から熟語としては「利息」が誕生したのだと考えられます。ですから、「利息」には広い意味で、新たに生み出されるものという概念が含まれているのです。

日本の市場で考えた場合、日本では古くから日歩と計算方法がありました。商人の世界の決め事です。大名等が米を借りることもあったでしょう。米を担保にお金を借りることもあったと思います。利息を金銭以外で支払う「利子米(利米)」という支払の方法もありました。お金の代わりにお米で支払ったのです。現在では、利息には、実物利子と貨幣利子のように分けるようになっています。また、借り手が支払うお金を利子といい、貸し手が頂くお金をまさしく、利を生んでくれたので利息という場合もあります。

①、②を選択し、②で運用すれば安全性は高いですが、利息は微々たるものです。①の選択では、返ってこなくなることやカネの切れ目が縁の切れ目など、不穏です。③は投資ですが、株主優待など優遇もあります。配当は利息の概念ですが、将来売買で損益は大きく変動します。

利子米の本当の意味?

実は、「米」の意味には別の使い方も金融の世界にはあります。「米国の利子」という意味です。この制度は、米国の金利安による資金の海外流出を防ぐために外国での資金調達で発行される外国証券に平衡税という税金をかける制度です。もし、日米金利差において、日本の金利が高くなってしまいドルが日本に流出し出すと発動されるかもしれません。何故、この制度が必要なのでしょうか?米国は長期にわたって世界最大の債務国だからです。米国はいつの時代でも双子の赤字は頭痛の種です。今は、米国人と米国の企業の財産は巨大ですが、いつかはそのお金も金利の高い国の方へ出ていくでしょう。

日米金利差は過去から逆転したことはない?

結論から見ると1965年、国債の発行再開から一度も日米金利差が逆転(日本が高く、米国が低い状態)は無かったということです。しかし、過去一度も起こらなかったからと言って起きないという保証はありません。その可能性は海外投資家が持っていると考えています。それが、投資格付けと財政規律です。この2つが悪化すると様相が変わります。だから絶対ないとは言えません。しかし、日本の国債の格付けが下げられたとしても日本の機関投資家は国債を投げ売りはしません。海外投資家がどこまで叩売りしますか。

今の日米金利差は10年国債で3.1%~3.7%です。過去最大は5.088%、過去最少は0.501%です。かなり中心値より拡大の方にいます。米国10年国債は5%に近づく気配です。年初FRBは、「利下げは3回」などとアナウンスしていましたが、第1四半期は見送りました。おじさんは、相場の見通しをこのブログでつぶやきたい訳ではございません。利息は「生まれる」と「生きている」という側面があります、とは上述しました。100万円の例では、金利の先行は合理的経済人が決める訳ではないのです。気分とは言いませんが、裏を読んだりします。FRBは早々には利下げはしないというコンセンサスづくりをしています。金融市場は根本的に「生き物」ということです。だから、「市場はこうだ」と確信もって判断するのは本当に危険です。ましてや、巧みに嘘をつきますよ。おじさんたちはそのどんな行動をするのかわからない生き物の生態を常に探索しているのです。