ヘッジおじさんのつぶやき提言

ブログを読まれる前に

このブログはファイナンシャルアドバイザーの立場から投資家の皆様のためにつぶやくことが原則として始めました。もう半年以上が経ちました。皆様のお役に立てているか。振り返ることがあります。是非、ご感想を頂ければ幸いです。暑すぎた夏も終わり、天高く馬肥ゆる秋。自分の大切なお金の運用をもう一度考えて見ましょう。おいしいコーヒーを横において見て頂ければ幸いです。

ヘッジファンド専門の証券会社の誇り 
~2011年からのエアーズシー証券株式会社の歩み~
 

金融証券取引法の施行

2007年9月金融商品取引法が施行され、日本の金融市場のグローバル化が進展しました。世界市場に日本の金融市場が開放されました。しかし、海外からの進出はなかなか進みません。業界ごとの参入障壁はまだ十分に高かったと思います。国内金融取引業者はグループ化を推進し、結束を強化しました。当然、仲間外れも出てきます。 

一方で、金融のシステム化が進み、インターネットやスマホの普及でネット証券がシェアを拡大しています。口座数だけで見ると大手証券会社を凌駕しています。1998年に松井証券が非対面の営業サービスを開始してから20年以上が経ちました。業界の勢力図は大きく変わろうとしています。 

リーマンショックは幸運だった?

「金融ビッグバン」以降の金融業界は、激変の連続でした。この期間が日本のデフレ経済期間と合致するのは、表では世界に向けての金融改革の三原則を掲げ、裏では国内金融商品取引業者の不良債権処理を解決するための政策を実行していたからでしょう。日本の金融機関は外資系の進出で、攻められたでしょう。現に、中小の証券会社は中国資本やシンガポールなどアジア投資家に抑えられています。 

この時期に、日本にとっての幸運はリーマンショックです。約6000億ドルの破綻債権が欧米の金融機関を襲いました。その為、欧米の金融機関は日本進出できませんでした。それだけではなく、外資の有力な金融グループを傘下に収めた銀行もあります。世界市場では、リーマンショックを国際金融危機と名付けていますが、日本ではその名称を使っていません。何故なら直接的影響が軽微だったからです。不謹慎ですが、幸運と呼んだ理由です。しかし、米国の消費経済の落ち込みは、急速なドル安を進行させ、日本のデフレを長引かせる結果になってしまいましたが、日本の金融機関が信用回復するのには役立ったわけです。 

本当に良いものは売れる!

リーマンショックと同時期に、日本の金融商品取引法は施行し、グローバル化が国内では走り出しました。当面は、外資は攻めてきませんが、国内の熾烈な戦いで生き残りは厳しい。エアーズシー証券は、事業の存続を模索しながら海外に活路を捜しました。 
商売の基本である良いものは売れる。そして、その良いものは時代が証明してくれるのです。消費者に長く愛されるのです。本当に良いものは海外にある、と信じて捜索の歴史が始まります。 


そして、最初の出会いが2011年です。 


このヘッジファンドは、当時のヘッジファンド業界では知名度は高くありません。ニッチでしたが、絶対的リターン追求型で、運用開始以来、一度も年率リターンがマイナスにはなっていませんでした。現在も継続中です。運用戦略はレラティブ・バリュー戦略です。 

レラティブ・バリュー戦略

レラティブ・バリュー戦略とは割高の証券を売って、割安の証券を買う戦略です。通常はマーケットニュートラルにするため、どちらかにレバレッジを掛けず同額にします。証券価格は時間の経過とともに理論値に収斂していく性質があります。割高の証券は、割高の部分が取れて、割安の証券はその差が埋まって理論価格に収斂します。割高の証券は売っているので、安く買い戻して、割安の証券は買っているので売却して取引を終了します。理論通りにいけば、利ザヤを確保できるわけです。 

日本でも同じような取引は行われていました。国債のディーリングで行われていました。国債先物が上場しており、この先物から現物国債の理論値を出して、今取引している価格が理論値から上下に乖離している状況を発見し、瞬時に取引を執行し、理論値の価格に戻ったところでポジションの取引の反対売買を執行します。おじさんが見ている時には手作業と目視でやっていました。結構失敗していましたね。この取引で100万円上がると大騒ぎしていました(10億円単位で10銭の価格差) 

アルゴリズムとは何?

PCの登場は産業革命です。アルゴリズムを構築して取引を実行することが可能になりました。手作業と電卓で計算していたことが瞬時にできるようになったのです。それは株式のような銘柄数の多いものでも、注文を発注することが瞬時に出来ることを可能にしました。 

アルゴリズムとは計算によって最適な取引を見つけ出すことです。例えば、株式銘柄数×数量数×割高か・割安かの組合せの中から見つけ出します。仮に、銘柄数3000、数量数100通り、2通りで考えると、60万通りの組み合わせがあります。市場変動から導かれるそれぞれの銘柄が上下した時、割高状態の銘柄を見つけ出し、割安状態の銘柄も見つけ出して瞬時に売買を発注する。それを取引時間中、休むことなく実行できるとしたらどうですか。それぞれの取引の収益は5万円だとしても、1日1000回、1年260日として、利益は100億円を超えます。 

A証券は、理論値は100円だけど、110円で割高の価格で取引しています。市場取引で見ると10万株程度が限界です。同時にB証券は、理論価格1000円だけど、900円で取引されており、市場取引が3万株程度。同額にするので、B証券は3万株程度しか取引できないが、金額では2700万円が必要です。A証券は10万株の取引ができますが、1100万円で金額は少ない。同金額の取引(マーケットニュートラル)のルールで行うと、A証券の金額に合わせてB証券は約1万2千株の買い注文を出すことになります。5万円の利益を出すためには、A証券が109円以下なれば、1円の利益で10万株買い戻せば10万円の利益となり、反対売買を実行することになります。しかし、それ以外の変動が生じます。例えば、B証券が900円ではなく899円になってしますリスクやA証券の買い戻しが109円で全部完了しないリスクなど。アルゴリズムは瞬時に計算して修正します。文章で説明すると相当長くなりますので、これくらいで止めます。 
 
運用資金が100億円とした場合、1000万円で1組とするとその組み合わせを1000通りくらい作らないと資金を寝かせておくことになります。そして、AとBが同時に理論価格にはなると限りませんので、時間経過を計算に入れます。その計算とシミュレーションを何万回も繰り返し、最適な取引を執行します。リスクを抑えて最適な取引をすることがアルゴリズムです。説明するだけで疲れますね。 

これぞ!誇りです

おじさんたちの仕事は、「これぞ」というヘッジファンドを見つけて、「この運用ならば、絶対的リターンを追求できるだろう」と、結論出してから、「どうやって日本で販売しようか」と、いう具体的な準備に取りかかります。 
① 本当に良いものを探し出すこと。 
② 長期的なモニタリング。 
③ それを日本で販売できる仕組み。 
1本のヘッジファンドを世に出すためには最低5年のモニタリングが必要です。地道な作業と調査が続きます。そして、世に出せる準備が整ったとして、金融商品取引法上は、広告は打てません。 
皆様が弊社のホームページを見つけて頂いて、ナンバリングという手続きを踏んで、お話ができるのです。 
 
その取り組みを初めて、この9月で10本のヘッジファンドを世に出すことができました。この10本のヘッジファンドは当局に全て届け出ています。この10本はヘッジファンド10本ではありません。通貨の違うものやファンドオブヘッジファンドと言って、数本のヘッジファンドに投資しているものもございます。ということは、10本以上のヘッジファンドを世に送り出しているのです。それらのファンドの多くは5年以上モリタリングしています。ヘッジファンドを取扱い始めて13年。干支は1回りしました。それ以外の金融商品は今のところ取り扱っていません。 


それが私たちの誇りです。「ヘッジファンド専門の証券会社」と言われるために歩んで来た道のりです。