正しい成長経済はどんな成長経済?---1
~~サスティナブル・ファイナンスの時代~~
地球上の人類は増え続けますか?
日本人の平均寿命現在80歳を超えています。WHO(世界保健機構)が今年5月発表した統計データでは、日本はトップでした。今はアジアの国が上位を占めています。
この寿命も世界的には地域にバラツキがあります。自然環境の厳しい地域では、極寒の地域や砂漠地帯など、統計はありませんが平均50歳くらいのようです。地球規模的の気候変動が起きていますが、温暖化地域が増えると暮らしやすい気候帯は増えますが、災害の増加も想定されますので、気候変動で人口が増加するのか、減少するのかははっきりしません。
世界の人口は2022年約80億人です。21世紀に入り、12年間で約10億人ずつ増加しています。国連の試算では、2086年には約104億人に達し、人類の増加はピークを打つと見られています。まだ、20億人以上も増えるのです。
現在、人口1億人以上の国は15か国あります。今後も1億人以上の国は増えるのでしょうが、人口の減っている国もあるのです。
調べてみると、旧東ヨーロッパの地域に多いようです。
2050年には、日本やイタリアなどピークの半分くらいになると見られています。その多くは旧ソ連を含む東ヨーロッパの国々が多いようです。特に多民族国家では争いも多く、もっと短命になります。人の寿命も「豊かさ」と大きな関係があります。
経済成長は豊かさだけを求めている?
人口が増えていく事が正しい経済成長なのでしょうか?
世界幸福度報告というのがあります。国連のSDSN(持続可能な開発ソリューション・ネットワーク)が2012年4月から毎年発行されるようになった報告書です。
日本は2012年、44位でした。12年たって2024年の最新は51位です。コロナ過の時には、62位まで下落しましたが、徐々に回復傾向です。
しかし、世界の平均寿命でもトップテンに入っている北欧の国は、世界幸福度報告でも上位10位以内に入っています。日本は平均寿命ではトップですが、世界幸福度ランキングでは51位(一番高い時で43位2013年)です。この報告書ではお金の価値は関係ないのでしょうか?
このランキングを決める項目は6つです。やはり、お金を持っているかどうかは項目のトップです。
参考までに、6つを掲げます。
1.人口当たりのGDP
2.社会的支援
3.健康寿命
4.人生の選択の自由度
5.寛容さ・気前の良さ
6.腐敗の認識
お隣、韓国は52位(前年57位⇧)、近隣の国で、中国は60位(同64位⇧)、台湾31位(同27位⇩)
他、代表的な国は、米国20位(同15位⇩)、ロシア72位(同70位⇩)です。「豊かさ」とはお金だけでもないということでしょう。
人口が減っている国はありますか?
日本は人口動態を総務省が集計しています。17年連続で自然減少が続いています。年々減少人数は拡大しており、2023年は83万人ほどです。また、総人口も減少しています。これも年々拡大しており、53万人くらいです。総人口には、外国人居住者が入っています。日本人が83万人減っていて、全体では53万人の減少。外国人が30万人くらい移住してきているのでしょうか?
世界で見ると、人口が減少している国では社会制度が大きく関わっています。以前、社会主義国家だった国が、人口が減少しているのです。何故でしょう?
ロシア革命を指揮したレーニンによって1922年社会主義国家としてソビエト連邦(以下。ソ連という)は誕生しました。第1次世界大戦が終結して世界の変革が始まりました。
1929年10月24日米国の株価は暴落しました(暗黒の木曜日といわれています)。世界恐慌が始まったのです。資本主義経済の崩壊が始まったように見えました。
1932年、世界のGDPは推定15%くらい減少したと見られています。最近の例で見てみると、経済危機としては2008年のリーマンショックが震撼しましたが、世界のGDP減少率は1%未満です。日本でも大きな影響はありましたが、それでも世界規模で見ると、1%未満だったのです。「15%の減少した事実」は、おじさんには正直想像できません。資料を見ると国際貿易額は50%以上が消失。海外から輸入している輸入品が(原油も含め)が50%以上入って来なくなると、今の世界どうなるのでしょう?失業率は30%以上。各地で暴動が起きた、と教科書には書かれています。
この時、ソ連は共産主義国家であったため、世界恐慌の影響を全く受けなかったのです。逆に経済発展を遂げ、1930年には、ソ連はイギリスを抜いて、世界第2の経済大国になりました。世界各国が恐慌で苦しむ中、計画経済で発展を続けるソ連はスターリン書記長の神格化が進んでいきます。そして、西欧の上流階級に中にはスターリン書記長への羨望が忠誠心に変わり、スパイになる人たちが多く出ました。
需要を喚起する政策を打つ
当時の資本主義の列強国は様々な政策を打ち出しました。米国はルーズベルト大統領(民主党)が取ったニューディール政策が有名で、雇用創出に成功しました。大規模な公共事業で雇用を生み、農業や産業の復興を推進しました。失業率を減少させることが恐慌を止める有効策だと各国首脳は気付いたのでしょう。
イギリスは植民地と新たにイギリス連邦を形成し、ブロック経済を推進しました。
イタリアはファシスト党の一党支配となり、ムッソリーニが首相となって産業統制を実施、軍需産業に集中投資を実施し、軍拡に進んでいきました。失業者を軍隊が吸収していきます。
フランスは第1次世界大戦の賠償金をドイツに請求(1320億マルク)、約200億マルクの現物支給を受けましたが、それでは財政赤字は埋まらず、植民地政策を強化しました。
ドイツは巨額な賠償金でハイパーインフレに陥りました。失業率は列国の最高40%以上と成っており、アメリカ資本もどんどん撤退し、国家社会主義ドイツ労働党が大きく躍進していました。経済発展が進んでいるソ連を真似ようとしたのです。しかし、ドイツ労働党(ナチス党)はドイツ共産党やドイツ社会民主党など同じような思想をもっていた党を逆に弾圧しはじめ、権力を掌握しました。ヒトラーが首相に任命されると秘密裏に再軍備を実施、失業者は急速に減少しました。ソ連と似た自給自足の4か年経済計画(閉塞経済計画)を打ち出して、さらなる軍備拡大を進めました。
日本も同じように自力回復経済を打ち出し、西欧に先駆けて軽工業は回復基調に向かい出しましたが、列国のブロック経済封鎖に直面し、重化学工業は台湾と満州国の利権拡大に向かい出しました。持てる国と持たざる国の対立の溝は拡大するばかりです。
資本主義の欠陥(2つの孤立主義国家)
資本主義は本来自由な取引を行なえることが大前提ですが、信用供与という国家間の不安要素がありました。不安とは、簡単に言えば自由取引の大前提は、相手を信用することができなければ、対等ではないということです。お金の支払い能力があるのかないのか、ということです。
その為、世界は金本位制を資本主義国家に科していました。以前、このブログでも書きました(階層別資産運用のススメ1参照)が、金を持っていないと、紙幣は発行できなかったのです。帝国政府は戦艦を作るための原材料(例えば「鉄鉱石」とか)を大量に輸入したかった。日本紙幣で支払おうとしたら、受け取らない。世界では、円紙幣は信用力が無かった。だから、金を保有して、日本紙幣は銀行が保有している金と交換できますよ、と信用力を付けたのです。しかし、金は自由に量も決まっているし保有できない。ということは、自由にお金を作ることを許さない。通貨創造をさせない。資源を持たない国は、国内だけで不況は止められなかったのです。
第1次世界大戦後の国際社会に覇権国家である米国は参加していませんでした。米国は世界的な繁栄を1国だけで享受していました。他の国では、米国からの資金供給が無ければ立ち直れなかったのです。
金本位制に変わる国際秩序の構築を偉大な経済学者ケインズも気付いていました。国際通貨を創造して「バンコール」と名付けて国際社会に提唱しました。しかし、米国や国際連盟では十分理解されず採用されませんでした。金の兌換を、ドルを基軸通貨とするブレトンウッズ体制が採用されました。
資本主事の欠陥を残したまま、時代は進んでいくのです。孤立した2つの覇権国家、ソ連と米国の対立は始まっていくのです。
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