ドル高の本当の意味
~~~日本の生活防衛の為のドル保有~~~
ヘッジおじさん予想165円は来る?
連休中に、財務省・日銀は急激な為替変動を阻止するため、円買いドル売り為替介入実施したようです。正式なコメントはありませんでしたが、状況を見ると疑いようはありません。海外市場で160円を付けた為替は瞬間151円まで伸長しました。
各国金融当局の公式コメントはありませんが、IMF専務理事ゲオルギエバ氏は、好感するような発言がありました。財務省のホームページには過去の介入実績を公表していますが、令和4年(2022年)10月24日以来となります。その時は150円台突入を阻止目的でしょう。今回は160円台突入を阻止のようです。次のターゲットは170円台突入を阻止ということになりますか?平成時代の為替介入は円高阻止のドル買い円売りでした。時代は変わりましたね。金融政策としてはインフレ抑制策として見ることが出来るでしょう。大義名分はあるでしょう。
日本株式市場は正常に戻ったの?
国際金融経済の観点から見ると、円安ではなく、ドル高の真相が見えてくると思います。国民としてのおじさんの立場から見ると円安ドル高は日本経済の実力不足のように映ります。しかし、日本経済の成長力が鈍化しているから円が売られているわけではないということです。
昨年末から日本株式市場は30年以上更新できなかった最高値を数カ月でクリアーしました。おじさんが、昨年末のYouTubeで予想した数字は外れてしまいました。
やっと、安穏としていられた25年のデフレ経済は終わり、緩やかながら恐怖のインフレ時代に戻ったのです。企業の利益率も向上し、内情からは円高トレンドに戻る準備は整いつつあると見ることもできます。しかし、おじさんは当面、円安トレンドは続くものと想定しています(第1回2023年12月23日当社ブログ参照)
コロナショックがドル需要を加速させた
原油価格の急騰により2021年から日本は貿易赤字に転落しました。原油価格の急騰は資源の乏しい日本にとっては大きな打撃になりますが、長期の円高トレンドで産業構造は大きく変わりました。ほとんどの製造業は内需向け製品以外は海外に資本や設備を移し、海外生産を開始してドルでコスト計算をする方法を選択しました。現地通貨を使いますが、円の需要は全くありません。ならば、どこの通貨で保有しておくのか。
特に2020年コロナショックでは、世界的な金融危機を招き、国際金融システムを米ドル依存型に変貌させました。コロナ発祥の一報は、中国「武漢」からでした。国際社会は中国を疑い始めました。その後、米中関係は悪化し、中国系IT企業はシリコンバレーから駆逐され、中国は最新テクノロジー戦争では大きく後れを取りました。経済的な遅れを取り戻すため、中国の南洋進出はスピードを増し、周辺国の脅威となり、ますます中国は孤立し、通貨「元」は国際通貨としての信用を失いました。2030年の世界経済は米中による二大経済圏という構図は、10年ないしは20年遅れることになるでしょう。
戦後間もないころも世界の覇権争いはありました。米ソ対立の冷戦時代です。
世界経済を優位に進めるための覇権争いでは、結局、米国の対戦相手はテクニカルKOされてしまいます。ソ連ではイデオロギーが変わり、その後、大統領制を導入しました。外面的には米国と対等な政治体制になりましたが、現在のロシアは世界経済的には孤立しており、デフォルトしています。
中国はかつての日本の同様に、不動産バブルが崩壊しています。第2次世界大戦後、東西に分けれた国はいくつかありますが、ドイツは一つになりました。成功しているのは資本主義経済圏に加わった国です。ソ連の崩壊で、ワルシャワ条約機構も解散し、社会主義共産圏は無くなりました。中国はドイツのように東西に分かれたわけではありませんが、二つの中国として残っています。勝負はつきましたね。
21世紀は、多様性の時代といわれ、人種、民族、文化、イデオロギー、宗教などの共存の時代に入りました。国連は共存共栄の為、1945年に国連憲章を制定しています。草案を作った当時の国は、米国、イギリス、ソ連、中国です。なんと、その4か国うち2か国が米国と覇権争いをすることになったのです。おじさんは「どこが共存か?」と怒鳴りたいくらいです。米国を中心に今後も世界は動いていくのでしょうか?
尊敬する武者レポートから
ヘッジおじさんは、『AS絆レポート』第3号(2022年10月6日発行)で、武者氏が書かれた「NYダウ100年史に見る経済と市場展開」(「月刊資本市場2012.6(No322)」)を取り上げました。武者氏の卓越した視点にはいつも驚愕させられます。
2012年6月に書かれたレポートで、「100,000ドルを目指す次の10倍上昇トレンドに入る可能性があるのかもしれない。こう考えると、過去の株価が10倍になった条件とは何であったか、(中略)決定的に重要な鍵となる。」と、要因分析について論じています。その要因とは少なくとも3つあります。
①地政学的なレジーム
②技術革新(生産性・供給力)
③通貨制度(需要創造)
の3つを挙げられていました。
『AS絆レポート』で、その3つをおじさんなりに分析して、100,000ドル上昇トレンドに入ったと結論しました。①と②については、別の機会に述べていと思いますが、③の通貨制度について、今回はもう一度考えて見たいと思います。
海外旅行に行く心得(計画の初めは?)
このゴールデンウィークに海外旅行に行かれた方は、前年実績の7割強の約52万人、コロナショック前でみると9割くらいまで回復した、と見られています。しかし、この円安で最高更新することは当面ないのではないか、との論調も専門家の間にはありました。
その理由は海外の物価高です。「前回比より、滞在費が倍になった」というわけです。これは当たり前の話。日本は長期デフレ経済、米国をはじめ新興国はインフレ経済の国です。5年も行っていなければ1.5倍くらいの実感は当たり前でしょう。自国経済状況や自国通貨建て考えると、エコノミーショックを受けます。
しかし、5年前からドルを保有していれば対処できましたよ。当社では2011年からドルでの運用を推奨してきております。何故か、運用の世界は、ドルベースだからです。
中国と友好を推進していたアジア諸国は、中国の覇権争いの中で、通貨としての「元」の国際化の一翼を担っていましたが、現状でははっきりとドル通貨建てに収斂されています。自国の成長にはドルが不可欠になっているのです。ですから、仮に東南アジアに旅行してもドル高とインフレは被ります。
「荒野の7人」が米国を救う
日本映画の傑作、黒澤明監督の「七人の侍」(1954年)は見たことがある人もいると思います。おじさんもビデオショップが雨後の筍のように増えた時に借りて観ました。その6年後、米国では西部劇として「荒野の七人」として、リメイクされました。半世紀もたって、2016年「マグニフィセント・ゼブン」として再々リメイクされました。米国株式市場では、企業の「マグニフィセント・セブン」が注目されています。
アップルをはじめとする7企業は、時価総額でも日本株式市場全体を圧倒しています。電子マネーで世界を席巻しています。ドル需要はこの7企業で、拡大され、また新しい価値が創造されるという、物を作って売るという経済に技術革新を起こしました。ソフト・データ経済という工場を持たなくても産業を生み出したのです。武者氏は1,000ドルから10,000ドルになる10倍トレンドの③はペーパードル本位制だったと結論付けました。おじさんは10,000ドルから100,000ドルになる10倍トレンドは紙(ペーパー)ではなく、電子(エレクトロニック マネー)ドル本位制なのではないかと想像しています。
僕らを救うのは?
円安の時代、鎖国政策を取るのであれば自国通貨建てで資産防衛できます。しかし、日本に住むこれからの人も世界とかかわっていく生活は増えていきます。そのかかわる分だけはドル資産を保有し負ければ防衛できないのです。
黄金の国といわれた日本は、どんどん海外に「金」が流出していきました。外国人は江戸幕府や朝廷を信用していませんでした。「大砲買うなら同じ重さの金と交換」なんて言われていたのでしょう。しかし、米国のドルを持っていたらどうです。取引にはドルが必要だったのです。海外に行く、海外のものを買う、それぞれ海外とかかわっているのです。だから、円の感覚で「このステーキ、高いなあ」と思っても、十分なドル投資をしているので、全く問題ありません。その人は、「今回はドル資産運用の増加分で、海外旅行を満喫してきました」とインタビューに応じられたでしょう。
富裕層がドルを持つ理由は突き詰めると、以上のことだとおじさんは思います。ではなぜ、ドルの需要が再び高まってきているのでしょうか?
武者氏流に言えば、世界共和国のリーダーは名実ともに米国、と日本も含めた諸外国が認め始めているということです。ドルが強くなっているのではなく、ドルが必要になってきているのです。そして、今、世界で唯一、金利ゼロの国は日本です。日本は金利ゼロであるがために、金融市場で円を調達して(ゼロ金利で借りて)海外に投資するスキームで、またドル需要を生んでしまうのです。決してドル高ではないと考えています。ドル需要が今後も長期的トレンドだと2つの理由で思うからです。
①Eドルは今後も新しい価値需要を創造する(特にマグニフィセント・セブンによって)
②世界共和国リーダーの信用構造で
1回や2回の為替介入では瞬間調整されたとしてもトレンドは変わらないでしょう。
まだまだ、ドル資産を増やすことが重要な防衛対策です。
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