ヘッジおじさんのつぶやき提言

ブログを読まれる前に

このブログはファイナンシャルアドバイザーの立場から投資家の皆様のためにつぶやくことが原則として始めました。もう半年以上が経ちました。皆様のお役に立てているか。振り返ることがあります。是非、ご感想を頂ければ幸いです。暑すぎた夏も終わり、天高く馬肥ゆる秋。自分の大切なお金の運用をもう一度考えて見ましょう。おいしいコーヒーを横において見て頂ければ幸いです。

AIと人間の融合は図れる?
~~~シニアが大きなアドバンテージを持っています~~~

AIと生成AIとの違い、わかりますか?

生成AIは新しい経済にどんな影響を与えるのでしょうか?マイクロソフトを通じて各国がしのぎを削っています。日本はこの分野で世界の牽引役を目指して産学官連携で取り組んでいます。その前におじさんのような世代ではAIって何、生成AIってなんだよ、となります。年齢はあまり関係ありませんよ。若い方にもたぶん関心のない人がいるでしょう。しかし、若い方かおじさんのような年の方かの違いではなく、今後の生活に大いに関係することを呟きたいと思います。

先日、親しくさせて頂いているIFAの方の講演があり、参加させていただきました。生成AIがファイナンスビジネスを変えていくというテーマでそれぞれの専門家の方が講演されました。いろいろなアルゴリズムを詳しく話されて、おじさんは付いていけませんでしたが、柳川先生(東京大学大学院経済学研究科教授)の話は腹落ちしました。AIと生成AIの違いについては、おじさんのわかる範囲でまとめました。

AIは人工頭脳です。調べることに長けています。そのことを機械学習と言います。しかし、常にインターネット上にあるデータを調べています。その膨大なデータから瞬時に欲しいデータをアウトプットしてくれます。その膨大なデータの中には、「うそ」のデータもあります。その調べたことについては残念ながら真偽はしません。自分自身で取捨選択し、まとめ上げなければ報告できません。

生成AIはこの機械学習が深堀されていきます。深層学習といってAIが常に新しいデータを取入れて、真偽を秤ながら掘り下げて学習していくのです。ここがただのAIと大きく違います。柳川先生の分かり易い話を要約してご紹介します。

同じ質問をして違う答えが返ってくることが正解?

「コロナ過の時、学生たちは自宅学習ということで、授業に出席できませんでした。その為、課題レポートを提出させて単位を与えることにしました。例えば課題は「現在の少子化対策と日本経済への影響(このおじさんが考えたテーマです)」など。すると、若干コピペ(コピー&ペーストのこと)の範囲が違う程度のほとんど同じような回答のレポートが提出されました。先生は「今の学生は賢くAIを利用していますね」と感心されましたが、ほぼ同じ影響の回答だったので、巧妙さがなく、学生たちは素直だと感じたそうです。しかし、それぞれの学生の意見や考え方が反映していなかったことが大変残念だったそうです。先生は独創的な意見を期待していたのでしょう。AIを使うことは賢い選択、と感心しましたが、そこで思考が止まってしまってはダメなのです。知識を得たことで、論理が展開しはじめ無限の論理展開が行なわれて、独創性が生まれるのです。

しかし、最近は、同じような課題レポートを出しても、みなさん違う回答が出てくるようになってきました。何故でしょう?生成AIを利用すると、検索回ごとに新しいデータを生成AIが吸収し、毎回違う回答が出てくるそうです。先生側ではAIを使ったかどうか判別できない結果になってしまいました。知識偏重の教育は完全に終わってしまったのです。最大リスクはその回答の真偽も考えもせず、正解として進んでいくことです。つまり、AIと生成AIの大きな違いは、AIに質問すると、同じような答えが返ってきますが、生成AIに質問すると、毎回違う答えが返ってくる、という具合です。おじさんはアナログ人間なので、同じ質問を何度もしますが、その度に違う回答ですと、正直信用できません。

正義は立場の違いで変わります

近未来のSF映画では、人工知能が人間を支配するストーリーが多くなりました。感情のある人間は時に理性を失い、価値判断を誤るのです。人類史上、悲劇を何度も繰り返して来ました。地球上のほかの生命にとっては有害だと人工知能が判断すれば、排除という回答も正解かもしれません。架空創造のこととして、今後は笑い飛ばすことができるでしょうか?

世界経済は新たな技術革新の時代に突入しました。インターネットの普及は意思伝達においては、時間と距離という物理的現象を消滅させました。生成AIは一つの質問に最新の深層学習を繰り返していきます。赤を黒とは回答しないでしょうが、今はインターネットにある様々なデータはファイアウォールによって遮断されているからです。

しかし、いつネット上のファイアウォールが無くなるのかはわかりません。例えば、大量殺人兵器の製造方法や材料の入手方法など、今、100%安全に保管されているとは言えない時代です。

この時代を生きる投資家は、国際ルールを守らない企業については、NOの判断を下さなければならないと思います。しかし、私たちの正義は、ある国にとっては悪であるかもしれません。現在、捕鯨は国際ルールで禁止されていますが、大昔の日本の漁師は命がけでクジラを取るために遠洋漁業に出撃しました。漁師にとってはクジラを取ることが生活の糧であり、正義でした。世界で決めたことなので、クジラ漁は行われていません。

先日、コートジボワール出身のシェフのお店に行きました。フランス料理のお店ですが、家庭的なお店でした。このコートジボワールという共和国はご存じの方もおられるでしょうが、かつて日本では「象牙海岸」の国と言われていました。15世紀にポルトガル、イギリス、オランダの商人が行き来し、象牙や奴隷を売買する海岸でした。そのほか、香辛料や黄金なども売買されて、17世紀にはアフリカ一の裕福な植民地でした。その時代、西洋人の侵略は正義でした。1958年自治国となり、1960年に正式に独立しましたが、内戦が40年くらい続きました。今は、大統領制で、両院を備え共和国になっています。普遍的な正義は存在するのでしょうか?今、世界はそれを目指しています。イデオロギーの対立があったとしても共存できる世界を、多様な人々が平和に暮らす世界を。

生成AIは万能?シニアが世界を救う

先生は言われました。「生成AIが多くの人の仕事を奪い、雇用をどんどん蝕んでいくかもしれない。ただ、単なる知識や技術の修得では人は生成AIにはもう勝てないでしょう。」おじさんは恐怖を感じました。技術やテクノロジーは生成AIによって数学的に進化を創めるのかもしれません。しかし、生成AIは万能の神ではないとも言われました。

何故でしょう?生成AIは個別のことはデータ不足で回答できなっからです。個別のこととは何でしょう?それは、例えば「おじさんの頭の中にあるもの」です。生成AIはおじさんの頭の中にあるものには残念ながらアクセスできません。人は知識の他に経験を積んでいきます。

生成AIがクレームをルール通り的確に処理したとします。合理的には全く問題ない。しかし、お客様は完全には納得しないものです。ベテランの方は、お客様が見えなくなるまで深々とお辞儀をしています。経験から直感的にそうした方が、お客様のご満足がいただけると思うかもしれません。生成AIにはその行為をするべきかどうかの判断は付かないのです。

先生は「もう一度学び直さなければならない。リスキングの時代が来るのです」と。そして、年齢や体力に関係なく、好奇心を失わず、「何だろう?どうすれば正解が出るのだろう?」と、問い続けることが大切です。また、回答に簡単には納得しない癖をつけることです。それが人の優位性を高めます。そして、具体的な現実の問題に、生成AIと融合して回答できるのです。その回答はいろいろな知識から導かれ、その人の経験や労苦が融合して最適な人間らしいと言いますか、回答として導かれるのです。その点では、シニアの経験者に大きなアドバンテージがあります。シニアの皆さん。貴重な体験を是非後世に伝えてください。おじさんにも是非シニアの皆様のお話を聞かせてください。大げさかもしれませんが、その経験が世界を救うかもしれません。