ヘッジおじさんのつぶやき提言

ブログを読まれる前に

このブログはファイナンシャルアドバイザーの立場から投資家の皆様のためにつぶやくことが原則として始めました。もう半年以上が経ちました。皆様のお役に立てているか。振り返ることがあります。是非、ご感想を頂ければ幸いです。暑すぎた夏も終わり、天高く馬肥ゆる秋。自分の大切なお金の運用をもう一度考えて見ましょう。おいしいコーヒーを横において見て頂ければ幸いです。

金融リテラシーって、何?

リテラシー(Literacy)とは

literacyは英語辞書によると読み書きのできる能力とあります。また、そのような人をliteratiと呼ぶそうです。日本語訳では「文化人とか知識人」ということになります。ここではカタカナ英語としてリテラシーとします。おじさんは、古い人間なので「読み、書き、そろばん」と訳して見てはどうか、と思います。

英語の意味では計算能力については触れていませんが、金融リテラシーには計算能力が必須です。しかし、計算能力で言えば四則演算は必須です。乗数や対数が理解できれば尚可です。それ以上の計算は専門家です。

「教育」という観点でみれば、日本では中学生くらいから始めるのが良いのかもしれませんが、欧米では小学校から金融教育を取入れています。進んでいる英国では3歳くらいから始めるそうです。

3歳からどんなことをするのか、というとおもちゃの小銭でお買い物の「ままごと」をします。実際にお金を使って買い物をしたりもします。貨幣経済の基本から入るようです。プライマリースクールに入ると情報の真偽の能力を養うカリキュラムもあるようです。

おじさんの頃の日本の金融教育は?もっと昔は実学中心

日本でも、おじさんの子供の時には郵便貯金を小学校でやっていました。3学期の初め、お年玉を郵便貯金に預けるのです。子供ながらに「貧富の差」を知らされます。

友達のご両親の職業には全く興味はなかったのに、その時になると、「おまえの父ちゃんお医者さんだったのか」とか「社長してんの」など、と大人の世界を垣間見たような驚きです。社長という職業があるのか?なりたいなあ思ったこともあります。何となく偉う人というイメージです。

日本の教育の始まりは座学と実学に分かれていました。座学は寺子屋などで「読み書きそろばん」を教えていました。「でっち」奉公とは年少者が一定期間、商人や職人の家に奉公し、雑役をしながらその仕事を学んでいくというものです。ただし、「でっち」には教育という側面はありません。早々に技は教えてもらえず、一定期間は強制に近い労働です。そして、技術を盗むと表現した方がいいかもしれません。しかし、この2つを見ると金融教育そのものです。つまり、その時代の社会で生きていくために身に付ける術(すべ)なのです。

教育は一律ではない。

江戸時代では身分制度がありました。士農工商です。武士は戦(いくさ)が仕事と言えば仕事ですから、道場がありました。実学です。農民は、祖父母から直伝でこれも実学です。職業選択の自由が無かったので、実学が大半です。寺子屋は都市部の住人の手習いだったのでしょう。幕末には1万5千か所もあったようです。その為、都市部の識字率は高い水準を維持していました。地方と都市の教育格差はかなり高かったようです。

教育と考えると、2つのアプローチが必要です。座学と実学。実学はまさしく経験や実習です。実際にやってみなければ実感が出ません。まずは、実際に運用をやってみるということです。損出は授業料と考えましょう。詳しくは、ヘッジおじさんのブログ「階層別資産運用のススメ」をご覧ください。

座学の金融教育としては、各金融機関が今後行っていくと思います。是非、セミナー等をご利用ください。当社でも金融商品取引法第77条の4の趣旨に賛同し、「ヘッジファンド」の普及啓発活動としてセミナーを定期的に開催いたしますので宜しくお願いします。ヘッジおじさんのチャンネルでも啓蒙はしています。

金融リテラシー・マップとは何?

運用を実践するのに金融リテラシーの確認をする必要があります。「読み書きそろばん」で見ていく必要があるのです。

金融経済教育推進会議では「最低限、身に付けるべき金融リテラシー」という副題を付けて金融リテラシー・マップを作成しています。

これは年代別に4分野8分類15項目に分けて、何をどう教えていくか、何をどう学んでいくかを具体的に指示しています。但し、実際、教える立場になると何を教材として取組むのか、項目が多すぎて目が回りそうです。年代別も小学生から大学生までの修学時期と社会人(就業時期)と高齢者(無職時期)と七期にわかれています。

実は金融リテラシー・マップは大切な項目を掲げていますが、その分類のなかの資産形成商品だけがクローズアップされています。そして、自分でやることが大前提でまとめられています。これだけ身に付けたとしても立派な大人にはなれますが、資産運用に成功するかどうかは分かりません。結局、資産運用の失敗するのであれば、いくら金融教育を推進しても「貯蓄から投資へ」に直接結びつかないのではないでしょうか?実は、1965年から現預金の比率はあまり変わっていないのです。

実践的金融リテラシーを養おう

金融教育は今後進化をしていくでしょう。金融教育学のような授業も出来るでしょう。そこで、おじさんは実践を進めるにあたっての金融リテラシーおじさんマップを作成しました。

投資の基本は、長期投資、分散投資、積立投資(又は一括投資)から考えるのです。その為に必要な金融リテラシーは3つです。この3つの質問をおじさんは、YouTubeでB3Q(読み方:ビーサンキュウ)としてお話ししました。この3つの質問に的確に答えられますか?
答えられれば実践投資を開始されても大きな失敗はないと断言できます。

第1問、「年率2%の利息がつく預金に100万円を5年間預けた場合の口座残高はいくらでしょう?」

第2問、「1銘柄の株式投資100銘柄の株式に投資する株式投資信託、どちらがより安心な投資だと言えますか?」、

第3問、「今100万円持っています。インフレ率が2%の時、預貯金金利が1%で運用した100万円で、1年後に同じものを同量購入できますか?」

この3つの質問に対して、日米の正答率の差は第1問に表れました。第1問は米国が30ポイントくらい高く、日本の43%に対して72%の正答です。このことは長期投資についての考え方がしっかり根付いていると見ることが出来ます。また、路側を受け取った方がいいという考えがあります。投資の基本の3つの中で長期投資が失敗しないための最良の方法です。日本人はリターン先行型といえます。第2問は米国の方が若干低いです。第3問は日米同程度の55%正答率ですが、新興国はもっと高く70%以上の正答率です。

投資行動は国の経済状況を反映する?

日米の金融リテラシーや金融教育の格差が原因で投資行動に格差が生じるのかは明確なデータはないようです。地道に実施していけば徐々に金融教育の普及で金融リテラシーが向上し投資行動に向かっていくのでしょうが、確信はないでしょう。確かにインフレ率は上がってきているようですが、マイナス金利政策は解除されていません。デフレ経済から脱却できたのでしょうか?どちらが先かは明白です。

金融教育が進んで、金融リテラシーが高くなると、今後の日本経済の見通しに落胆しければいいと考えます。

昔、日本は、経済は一流だが、政治は三流などと言われていました。投資行動を促すには、金融リテラシーを向上させることより、現実的に経済成長する国にすることの方が、おじさんは大事だと思います。