AIがファンドマネージャーを超える日?
“感情を持たないAI”が、感情に負ける瞬間
最近、ヘッジファンド業界で静かに注目を集めているキーワードがあります。 それが「AIのメンタルリスク(AI Mental Risk)」。 「AIにメンタル?」と聞くと不思議に思うかもしれません。
AIは感情を持たないはずですが、マーケットが急変した瞬間、まるで人間のように“怖がって動なくなる”AIがあるのです。
実際に起きた“AIのパニック”
昨年、アメリカのあるヘッジファンドで起きた出来事。
同社のAIトレーディングモデルが、市場の急落を検知すると同時に全ポジションをクローズしました。一見するとリスク管理の正解のように見えます。
ところが、その直後にマーケットはV字回復。 AIは再エントリーのタイミングを掴めず、年次リターンが-8%に沈みました。
一方で、人間の裁量判断で運用していた別のチームは3%のプラス。その後のV字回復を上手くとり込みました。
「感情を持たないはずのAI」が、結果的に“臆病”なトレードをしてしまった。 これは、データ上の「不確実性」に対するAIの過剰反応とも言えます。
AI vs 人間:2024年のリターン比較(表)
運用スタイル 平均リターン(2024年) ボラティリティ 最大ドローダウン
AI主導型(機械学習) +4.2% 11.5% -9.8%
ハイブリッド型(AI+人間判断) +7.8% 10.1% -6.3%
人間主導型(裁量トレード) +5.9% 13.0% -12.4%
(※データは主要AIファンドの年次報告を基に当社が作成)
この表を見ると、AIが勝つ年もありますが、人間との協働が最も安定的という傾向が見えてきす。AIはスピードと処理能力で人間を凌駕しますが、“恐怖”や“楽観”のデータから誤作動を起こすかもしれません。 マーケットの本質が「群衆心理」で動く以上、AIが完璧に市場を読む日はまだ遠いのかもしれません。

では、AIは本当に「怖がって」いたのか?
実際のところ、AIは「怖がっていた」わけではなく、確率分布の外側を過剰に恐れるように設計されているケースが多いのです。
これは「リスク回避バイアス(Risk Aversion Bias)」とも呼ばれ、人間の“臆病さ”を数理的に再現しているのです。
一方で、市場が混乱しているときこそ利益を狙う「逆張り戦略(Contrarian Strategy)」を取れるのは、データではなく“勘(直観的洞察力)”で動く人間の脳です。
これからのファンドマネジメントは「AI × 感情」の時代
未来のファンド運用では、「AIが人間を置き換える」ではなく、「AIと人間が互いの弱点を補う」形が主流になるでしょう。
• AI:データをもとに瞬時の意思決定
• 人間:心理的要因を読み解き、AIの判断を“修正”
• 結果:リスクを抑えつつ、安定したパフォーマンスを維持
最後に:マーケットを動かすのは、AIでも数字でもない
マーケットを動かすのは、結局「人間の心理」です。
AIがどれほど進化しても、“群衆の感情”を超えるアルゴリズムはまだ存在しません。
もしかすると本当の勝者は、 AIのメンタルを理解できる“人間のメンタルマネージャー”なのかもしれません。
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