エアーズシー証券のメルマガ 2026年9月14日号

1.マーケットのこと(今回の視点)

 【なぜ?】アメリカも円買いに参戦。しかし『ドル』は売らなかった 
 
投資家の皆様 
いつも大変お世話になっております。 
エアーズシー証券でございます。 
今週で、為替介入の話題は3週目ですが、本日は、先日の為替介入で起きた、非常に興味深い「日米の動き」についてお伝えいたします。 
今回、円安を食い止めるために動いたのは、日本だけではありませんでした。 
なんと、アメリカまで「円買い」に参戦しました。 
 
ところが、ここで非常に面白いことが起きています。 
日本は、「ドルを売って、円を買った」。では、アメリカも同じように、 
「ドルを売って、円を買った」のか?実は、違います。アメリカは円を買いました。しかし、ドルは売っていません。では、いったい何を売って円を買ったのか?答えは――「ユーロ」です。 
 
なぜアメリカは、日本と一緒に円を買いながら、自国のドルは売らなかったのでしょうか。ここを紐解いていくと、今回の為替介入が単なる「円安対策」ではなく、日本・アメリカ・ヨーロッパ、それぞれの思惑が交錯する非常に興味深い国際通貨の駆け引きだったことが見えてきます。今回は、「日本には協力する。でも、ドルは売らない。」そんなアメリカの一見不思議な動きから、今回の異例の為替介入の裏側を見ていきたいと思います。 
   
アメリカまで「円買い」に参戦した 
まず、今回の介入で驚かされたのは、日本だけではなく、アメリカも一緒に動いたということです。 
 
日本が円安を止めるために円を買う。これは分かります。自国の通貨ですからね。しかし今回は、アメリカまで円を買った。ここが非常に重要です。 
日本からすれば、「円が売られすぎている。何とかしたい」ということですから、やることはシンプルです。ドルを売る。そして、円を買う。大量のドルを売って、大量の円を買えば、円に強い買い圧力がかかります。これが、日本側の「円買い介入」です。 
  
では、アメリカは何をしたのか?ここからが今回の面白いところです。アメリカも、円を買いました。普通に考えれば、日本と同じように、ドルを売って、円を買うと思いますよね。ところが――アメリカはドルを売らなかった。これ、大事なポイントなので、もう一度書きます。アメリカは円を買った。しかし、ドルは売っていない。 
 
では、何を売ったのでしょうか?ユーロです。つまり今回、非常にシンプルに整理すると、日本 ドルを売る → 円を買うアメリカ ユーロを売る → 円を買う 
同じ「円買い」なのに、売った通貨が違うのです。「日本は助ける。でも、ドルは売らない」では、なぜアメリカはこんなことをしたのでしょうか。 
ここに、今回の介入の面白さがあります。アメリカとしても、行き過ぎた円安には対応したい。日本にも協力する。 
しかし一方で、アメリカが自ら大量のドルを売れば、 
マーケットから、「アメリカはドル安にしたいのか?」というメッセージとして受け取られる可能性があります。それは避けたい。そこで、アメリカが選んだのが、「円は買う。でもドルは売らない」という方法だったわけです。日本には協力する。円も買う。でも、自分たちのドルは売らない。代わりに、ユーロを売るなんともアメリカらしい、絶妙な一手です。 
  
ちょっと会話にすると、こんな感じでしょうか 
日本:   「円が大変です。ちょっと手伝ってください」 
アメリカ:「分かった。一緒に円を買おう」 
日本:   「ありがとうございます。では一緒にドルを売って……」 
アメリカ:「いや、ちょっと待って」 
日本:   「え?」 
アメリカ:「ドルは売らない」 
日本:   「では、何を売るんですか?」 
アメリカ:「ユーロ。」……。 
 
すると、今度はヨーロッパからすれば、「えっ、うち?」という話です。 
 
ここまでくると、今回の為替介入は単なる日本の「円安対策」ではありません。 
円、ドル、ユーロ。世界の主要通貨を巻き込んだ、国際的な駆け引きになっていることが分かります。なぜアメリカは、そこまでして参戦したのか? 
そして、私が今回もっとも興味深いと思うのが、ここです。そもそも、円は日本の通貨です。普通に考えれば、円安への対応は日本の問題です。それなのに、 
なぜアメリカまで参戦したのでしょうか?そこには、今回の円安が、単なる「日本だけの問題」ではなくなってきた、という背景も考えられます。為替というのは、一つの通貨だけで動いているわけではありません。 
 
円が大きく動けば、ドルにも影響する。ユーロにも影響する。株式市場にも影響する。債券市場にも影響する。そして、世界のお金の流れそのものにも影響します。さらに日本は、世界でも有数の外貨準備を持つ国です。その中には、米国債などの外貨建て資産も含まれています。円を買うために、日本が保有する外貨資産を大きく動かすようなことになれば、アメリカにとっても、完全に他人事とは言えなくなります。つまり、今回の日米協調を、単純に、「アメリカが日本を助けてくれた」と見るだけでは、少し物足りない。日本には、日本の事情がある。 
アメリカには、アメリカの事情がある。その両者の利害が、 
今回、「円を買う」という一点で重なった。ただし―― 
同じ方向を向いていても、同じことをしたわけではない。 
 
ここがポイントです。 
為替を見るなら「誰が何を買ったか」だけでは足りない 
今回のニュースを見て、「日米が協調して円を買った」だけで終わってしまうと、この話の面白い部分を見逃してしまいます。 
 
重要なのは、「何を買ったか」だけではなく、「そのために何を売ったのか」です。日本は、ドルを売った。アメリカは、ドルを売らなかった。代わりに、ユーロを売った。たったこれだけの違いですが、そこには、それぞれの国の思惑が表れています。日本は円を守りたい。アメリカは日本には協力する。 
しかし、ドルを自ら売ることは避けたい。そして、その結果、ユーロが売られた。為替市場というのは、単にチャートを見て、「上がった」「下がった」 
というだけの世界ではありません。その一本のチャートの裏側で、各国政府や中央銀行、そして世界中の投資家が、それぞれの思惑で動いています。だから、 
為替は面白い。 
 
そして今回、さらに面白いのは――これだけのことをやっても、話は終わっていないということです。 
日本が動いた。アメリカまで動いた。円は大きく買われた。それでも、マーケットは再び円を売ろうとしている。 
となれば、次に気になるのは当然、「次はどうする?」ということです。もし再び円安が進んだら、日本はもう一度介入するのか。その時、アメリカも再び参戦するのか。そして、もしアメリカがもう一度円を買うとしたら――またドルは売らないのか?またユーロを売るのか? 
今回の為替介入は、一度きりのニュースとして見るよりも、これから始まる通貨を巡る駆け引きの第一幕として見たほうが、ずっと面白いのかもしれません。 
 
次にドル円のニュースを見たときには、ぜひ、「円はいくらになった?」だけではなく、「誰が、何を売って、何を買おうとしているのか?」そこにも注目してみてください。ファンドは、そのような見方をしています。為替市場のニュースが、今までとは少し違って見えてくると思います。 
 
最後に一言 
一点だけ正確に申し上げますと、「日銀が介入した」というより、 
為替介入を決めるのは「財務省」で、日銀はその実務を担うという整理です。 
財務省自身も、為替の過度な変動などに対して、通貨当局が市場で外国為替取引を行う、と説明しています。 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。 
次号もお楽しみに! 

 

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