エアーズシー証券のメルマガ 2026年9月21日号

1.マーケットのこと(今回の視点)

 【ロボット株を買えばいい?】 
ヘッジファンドが見る「フィジカルAI」の本当の投資機会
 
 
投資家の皆様 
いつも大変お世話になっております。 
エアーズシー証券でございます。 
本日は、いま株式市場で注目が高まりつつある「フィジカルAI」についてお伝えいたします。 
ChatGPTの登場以降、生成AIは私たちの生活に一気に浸透しました。 
文章を書く。画像をつくる。質問に答える。プログラムを書く。 
これまでのAIは、いわば「画面の中で考えるAI」でした。 
 
では、そのAIが「身体」を持ったらどうなるでしょうか。 
カメラで周囲を見て、自ら考え、判断し、そして実際に動く。 
工場で作業する。倉庫で荷物を運ぶ。車を運転する。人間と一緒に働く。 
これが、いま注目されている「フィジカルAI」です。 
 
しかし、投資家にとって本当に興味深いのは、ここからです。 
生成AI相場では、NVIDIAをはじめとする半導体企業だけでなく、 
データセンター、電力、冷却設備など、AIを支えるさまざまな産業へ資金が波及しました。 
では、フィジカルAIが本格的に普及するとき、次に資金が向かうのはどこなのでしょうか。ロボットでしょうか。半導体でしょうか。それとも、センサー、モーター、減速機、電池、FAなど、まだ市場の主役になっていない企業でしょうか。 
 
そして、もう一つ重要な視点があります。 
「フィジカルAIが成長すること」と、 
「フィジカルAI関連株を買えば儲かること」は、同じではありません。 
市場が期待を織り込みすぎれば、優れた技術を持つ企業でも株価は下がります。 
反対に、まだ注目されていない企業の業績にフィジカルAIの恩恵が現れ始めれば、そこに新しい投資機会が生まれる可能性があります。 
 
実はここに、 
「AIが変える未来」と「株価が織り込んでいる未来」 
という、非常に興味深いギャップがあります。 
今回は、生成AIの次の大きなテーマともいわれるフィジカルAIについて、 
単なる技術解説ではなく、「ヘッジファンドなら、この相場のどこを見るのか?」 
という投資家の視点から、できるだけシンプルに紐解いてみたいと思います。 
AIが「頭脳」から「身体」へ進化するとき、次のAI相場では一体どこに資金が向かうのでしょうか。 
 
生成AI相場は、そろそろ次のステージに入っているのかもしれません。 
これまでのAI相場を振り返ると、資金はまず「分かりやすい勝者」に集中しました。GPU、データセンター、半導体製造装置。そしてテーマが浸透するにつれ、電力や冷却設備など、「AIを動かすために必要なもの」へ物色の裾野が広がっていきました。相場ではよくあることです。最初に主役が買われ、次に周辺が買われる。 
 
では、AI相場の次の物色先はどこでしょうか。 
私たちが注目しているテーマの一つが、フィジカルAIです。生成AIが文章や画像をつくる「画面の中のAI」だったとすれば、フィジカルAIは現実世界を認識し、判断し、実際に動くAIです。ロボット、自動運転、工場、物流。AIが「頭脳」だけでなく、「身体」を持ち始める。 
ただ、投資家として重要なのは、ここからです。 
ロボット株を買えばいい、ではない相場で最も危険なのは、「大きなテーマ=分かりやすい関連株を買えばいい」と考えることです。生成AI相場でも、 
本当に大きな利益機会はAIモデルそのものだけにあったわけではありません。 
GPUが必要になり、データセンターが必要になり、電力が必要になった。 
一つの技術革新が、別の産業の需要を押し上げました。 
 
フィジカルAIでも、同じことが起きる可能性があります。 
推論チップ。センサー。モーター。減速機。電池。FA。物流システム。保守。 
シミュレーション。だから私たちが考えたい問いは、「次のNVIDIAはどこか?」ではありません。むしろ、「次のNVIDIA的なサプライチェーンは、どこにできるのか?」です。 
 
相場がまだ織り込んでいない場所はどこか 
ヘッジファンド的な視点で面白いのは、ここです。 
テーマそのものを当てるだけでは十分ではありません。 
フィジカルAIが普及する。それ自体が正しくても、その期待がすでに株価に100%織り込まれていれば、投資妙味は小さくなります。逆に、市場がまだフィジカルAI銘柄だと認識していない企業の売上が、数年後に大きく変わるのであれば面白い。 
 
つまり見るべきなのは、技術の未来ではなく、「期待」と「業績」の時間差です。どこから最初に売上が立つのか。どこで利益率が上がるのか。どこまで株価に織り込まれているのか。ここに投資機会が生まれます。そして、日本株このテーマを考えると、日本株は無視できません。生成AI相場では、米国の巨大テック企業が主役でした。 
 
しかしフィジカルAIは、ソフトウェアだけでは完結しません。 
精密部品、FA、ロボット、センサー、工作機械。 
日本企業が長年蓄積してきた産業基盤と重なる部分が多くあります。 
だから、フィジカルAIが、日本株にとって「AI相場の第二幕」になる可能性はある。ただし、ここにも注意が必要です。「日本はロボット大国だから、日本株が上がる」そんな単純な相場ではないでしょう。 
部品を作れることと、利益を取れることは違います。現場データを持っていることと、それをAI時代の競争力に変えられることも違います。 
投資家が見るべきなのは、誰が技術を持っているかではなく、誰がその技術を利益に変えられるか。です。 
 
むしろ「売り」が面白くなるかもしれない 
そして、フィジカルAI相場が本格化したとき、もう一つ注目したいことがあります。期待されすぎる企業が必ず出てくることです。ロボットはソフトウェアとは違います。安全性があります。保守があります。現場ごとの例外処理があります。導入コストがあります。投資回収にも時間がかかります。デモ動画では完璧に動いていたロボットが、実際の工場では期待したほど生産性を上げられない。 
そんなケースも当然あり得ます。 
 
ところが相場は、普及する未来を数年先まで一気に織り込むことがあります。 
そこに、「技術の進歩」と「株価の進みすぎ」のズレが生まれます。ヘッジファンドにとっては、これも投資機会です。勝者を買うだけではない。期待が現実より先に走った企業を見つける。これもまた、フィジカルAI相場の重要な見方だと思います。 
 
生成AIによって、AIの「頭脳」は大きく進化しました。 
次は、その頭脳が身体を持ち、現実世界へ出ていく。そう考えると、AI投資の主戦場はこれから、「データセンター」から「現場」へ広がっていくのかもしれません。そのとき本当に見つけたいのは、ニュースで一番目立つロボット企業ではありません。 
 
まだ市場がフィジカルAIの恩恵を十分に織り込んでいない企業。 
反対に、フィジカルAIという言葉だけで、未来を織り込みすぎている企業。 
この「期待と現実の差」を探すことが、 
次のAI相場を見るうえで重要になってくると考えています。 
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。 
次号もお楽しみに! 

 
 

 

2.当社のこと

 
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